「シュール」とは｜語源はシュルレアリスム?意味や使い方を解説

あなたは「シュール」という言葉を正しく使えていますか？

よく耳にする言葉ですが、「シュール」という言葉には複数の意味があるのです。

みんなが使っているからと、意味を詳しく知らずに使ってしまうと恥をかいてしまう、なんてことも…。

そうならないように、「シュール」の本当の意味と正しい使い方を把握することが大切です。

シュールの正しい意味だけでなく、例文や類義語なども紹介していきます。

「シュール」の意味とは？

「シュール」という言葉は和製カタカナ語で、超現実的な、不条理な、難解な、奇抜な様子や表現を意味しています。

よく「これはシュールだ」という言葉を耳にしたり、使ったりすると思いますが、どこか非日常的で、現実的にはありえないようなおかしな状況のことを指すケースがほとんどです。

現在の日本では、若者の間を中心に流行している言葉となっており、やや少し違う意味として使われることが増えています。

たとえば、お笑い芸人が独創的で尖っている表現を漫才で使用する場合、「シュールな光景だ」「シュールな笑いが起こる」という使い方をします。

ブラックジョークだけでなく、独創的な芸術作品に対しても「シュール」という言葉を使う方は多いようです。

「シュール」という言葉の由来は何？

日常的に使用している「シュール」は和製カタカナ語ですが、しっかりとした語源があります。

「シュール」の語源になっているのは、フランス語のシュルレアリスム（surréalisme）です。

超現実主義という意味を持つシュルレアリスムは、1920年代にフランスなど西洋諸国を中心に始まった前衛芸術運動の名前となります。

シュアルレアリスムの始まりは、フロイトの心理学に影響を受けたフランスの作家・アンドレブルトン氏が提唱した「シュルレアリスム宣言」です。

理性に基づいた現実世界ではなく、抑圧された世界から抜け出し、夢や思想を芸術に表現しようという宣言で、ダリやミロなど数々の有名な芸術家たちが影響を受けました。

日本では、詩人の西脇順三郎がシュアルレアリスムを広げたといわれています。

現代の芸術にも影響を与えているシュアルレアリスムの思想から、非現実的・非日常的かつ革新的な表現として「シュール」が生まれたのです。

「シュール」の使い方とは？

では、「シュール」という言葉はどのようにして使うのが正しいのでしょうか。

もともとは革新的で非現実的な様子を表現する言葉が「シュール」ではありますが、日本では意味が派生し、さまざまな使い方があります。

よく若い人の間で使われているのは、「シュールな○○」「シュールすぎる」という表現です。

形容詞のようにして使われることが多く、奇抜な行動やありえない様子を目にするときに「シュール」という言葉はピッタリ当てはまるでしょう。

目の前の状況に「シュールな様子」と表現できますが、奇抜で非現実的な映画や画像を見たときにも使うことができます。

「シュール」という言葉を用いた例文をご紹介

では、具体的に「シュール」という言葉はどのように使えばいいのか、例文をいくつか紹介しましょう。

（１）「シュールな光景」

簡単に使いやすい例文として、「シュールな光景」があります。

たとえば、公園で目を疑うような行動をしている人を見かけたときに、「見て見て！すごくシュールな光景！」というような使い方ができるでしょう。

最近は事故の現場でスマホを掲げている方をよく見かけますが、その異様な姿を見かけた際にもよく「それはそれは、非常にシュールな光景だった」と使うこともできます。

（２）「シュールな人だね」

普通の人とは違う感性を持っていたり、驚くような行動をしたりするような人を表す際に「シュールな人だね」という使い方をすることもあります。

たとえば、子供たちがたくさん遊んでいる公園の中で、1人の大人が逆立ちをしているとします。

周囲から見ると、異様な光景に見えるそのシーンはまさに「シュールな光景」であり、「シュールな人」です。

「近所にシュールな人がいるんだよ」「最近、話題になっているシュールな人」などと、言動にツッコミどころが満載な人のことを指す言葉にもなります。

（３）お笑いにおける「シュール」

「シュール」という言葉は、お笑いの現場でもよく使われています。

少し尖った表現で笑いを取っていたり、漫才の仕方が奇抜だったりする場合に「あのお笑いコンビはシュールな笑いを取る、シュールな芸風で有名だ」などという使い方が可能です。

漫才はツッコミとボケで成り立っているものですが、その型を破り、一風変わった芸風を目の当たりにした際に「シュール」という言葉が使えるでしょう。

つまり、独特な世界観を持っている人にも当てはまる言葉です。

なお、お笑いに「シュール」が使われるのは日本ならではと言えるでしょう。

「シュール」の類義語

「シュール」の意味や語源を把握しておけば、同じ意味を持つ言葉代用できます。

具体的にどのような類義語があるのか、チェックしていきましょう。

「シュール」の類義語を知ると、さらに表現の仕方が広がります。

（１）非日常

「シュール」の類義語として用いられる言葉に、非日常という言葉があります。

前述したように、「シュール」は現実ではありえないような状況、物事を表すときに表現できる言葉です。

当たり前のこととかけ離れている出来事、日常には起こりえないことを、非日常的な〜、非日常的のようで〜などと、同じ意味として用いることができます。

日常的ではなく、非現実的なニュアンスで、“非日常”という言葉も使ってみてはいかがでしょうか。

（２）現実離れ

現実離れという言葉も、「シュール」と同じ意味で使うことができます。

現実に即していないこと、世俗的な感覚や価値観からかけ離れていることを現実離れと言いますが、日常的ではない様子を意味するシュールと同等です。

シュールな光景＝現実離れしているような光景、シュールな人＝現実離れしている人というような表現ができるでしょう。

“普通”とは異なること、様子であるときに「現実離れしている」と使うことができます。

（３）不条理

不条理という言葉も、「シュール」の類義語になります。

不条理というのは、道理に合わないこと、筋道が通らないことやそのさまを表す言葉です。

たとえば、シュールな画風で社会の姿を風刺している画家がいるとします。

不条理という言葉にすると、「この絵画は社会が不条理であることを表している」という文に変えることができるというわけです。

現実的では考えられないことを表す言葉として、不条理はシュールと似ていますね。

（４）超現実的

シュルレアリスムの直訳である超現実的という言葉も、「シュール」の類義語です。

非現実的な意味がある「シュール」と真逆の意味なのでは？と思うかもしれませんが、「現実からかけ離れている」「現実ではありえない」「現実を超過している」という意味があります。

しかし、一般的に、超現実的という言葉を「現実に即している」「極めて現実的」など、そのままの意味として捉える方も多いので使用する際は注意が必要です。

「シュール」の対義語

逆に、「シュール」の反対の意味としては、どのような言葉を使うことができるのでしょうか。

ここでは、シュールの対義語である「平凡」と「ありきたり」の2つを紹介します。

（１）平凡

平凡という言葉は、優れた特色もなく、ごく当たり前のことという意味があります。

「シュール」は非現実的、非日常的という意味があるので、その反対の意味である、ごく当たり前の日常を示す平凡の対義語として用いることができるでしょう。

毎日当たり前のようにしていること、現実や日常を表すことができる言葉は、「シュール」の対義語として最適です。

また、平凡もシュールと同じように、「平凡な〜」と形容動詞として使用できます。

（２）ありきたり

「シュール」の対義語としてもう1つ、ありきたりという言葉もあります。

ありきたりな物語、ありきたりの人生を送るなど、“世の中にあふれていること”や“珍しくないこと、そのさま”を表す言葉です。

少しも珍しくない出来事や状況などで、「ありきたりな〜」と表現します。

現実とはかけ離れている様子を表す「シュール」とは、まさに反対の意味で使うことができるでしょう。

そのほか、「現実的な」「日常的な」という言葉もシュールの対義語となります。

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