「夫と離婚するつもりはないけど、別の浮気相手の男性に心が惹かれてしまう…」
実は、既婚女性の不倫において、こういった相談が多く寄せられているのをご存じでしょうか?
今回は、実際の相談内容をもとにプロのカウンセラーが「既婚女性の不倫願望」について詳しくアドバイスしていきます。
既婚女性が結婚生活や不倫関係を通して、この先の将来、どのように生きていくのか…それを見つめ直すヒントとして役立てていただければ幸いです。
夫よりも若い男性に惹かれ、浮気相手に夢中に
最近読んだ読み物の中にこんな記事がありました。「先輩女性にかわいがられる年下男性は、どんな行動パターンをしているのか!?」という内容です。
・挨拶を自分からしてくれるし、率先して荷物などを持ってくれる。
・「いつでも手伝います」という謙虚な姿勢がかわいく思える。
・「今日もかわいいですね」と、年下ならではの素直さを活かして、ストレートに褒めてくれる。
この他にもたくさんの好感度ポイントが意見として挙がっていました。いずれも「女性として接する気遣いを見せてくれる年下男性に好印象を持つ」というところが共通のようです。
上記は職場でのお話ではあるのですが、男女関係においても同じような心理から、年下に魅力を感じるケースはあります。
たとえば、家庭内でケンカが多いという戦争状態、すでに冷めきって諦め顔の冷戦状態が続いている毎日。仕事であれば、ハードワークや緊張の連続にあるような毎日。ホッとできたり、安心できたりする環境とはほど遠いような状況がある時に、フッと意識を取られての不倫・浮気というのは、少なくありません。
息をつけるような場所がなく心が疲弊している時には、どこか依存的な甘い雰囲気のあるものを心が求めることも少なくありません。これ以上頑張るよりも甘えられるような、強くならずに済むようなものを求めたくなるのです。それが、年下男性・年下女性との浮気である場合も多いようです。
男性であれば、仕事で緊張状態が続きながらも、家庭でもそのストレスを緩ませることができないのだとしたら…「かわいらしく女の子らしい感じ」のする部下との不倫、玄人さん相手であれば、風俗・キャバクラ通いなどの浮気などで緩めようとするかもしれません。
女性であれば、自分に関心を持ってくれない夫に、自分を大切に扱ってもらえていないという気持ちが強くなっているのだとしたら…「自分をちやほやしてくれそうな相手」である年下のかわいい男性に目がいくようになることも。そこには、“女として自分を見てほしい”という、女性心理が隠されています。
あなたの夫婦関係、ちょっとトゲトゲしくなっていたり、意地を張ってしまっていたり、お互い無関心だったりしていないでしょうか?
無いものだから惹かれる。だから、パートナーと浮気相手は正反対だったりもするのです。
泥沼化しやすい“W不倫”からの修復への道
夫婦関係がこれから良くなっていくとは、とても思えない。そして二人の未来にあるものは、諦めと絶望ばかり。こんな状況のことを心理学では、“デットゾーン”と呼びます。夫婦関係でいえば、いわゆる「W不倫」「仮面夫婦」などもその一例です。
デットゾーンをもっと具体的に説明すると、恋人関係なら“倦怠期”というと分かりやすいかもしれませんね。二人でいることの意味も分からないまま、惰性と諦めで過ごしているような状態です。夫婦関係なら、浮気・別れ(離婚)の問題が浮上し、どちらかが「お別れしましょう」と切り出すこともあるかもしれません。
もちろん、何もせずにこうなってしまったわけではないのです。デッドゾーンに来るまでには、誤解やすれ違いをなくそうと思って頑張って努力もしてきた。でも、うまくいかずに余計に傷ついてもきた。どうしようもない状態であるからこそ、冷めきってしまい泥沼化が起こってしまうのです。
■デッドゾーンを抜け出すためのヒント
浮気をしてしまう心理として“不足原則”という心理があります。今の環境や状況で満たされない何かを、別の何かを使って埋めようという心理です。パートナーとの関係で心の渇きがあり、寂しさや、満たされない思いを埋めようとする欲求が、浮気を起こしているケースが少なくないのです。
仕事人間で家庭に見向きもしない夫。「私ってまるで家政婦なの?」寂しく諦め顔の妻。そこに至るまでには、家庭や自分に目を向けてもらおうと頑張ってきたはずです。それでもこちらを向いてはくれない…。そんな時に「夫には、どうも女がいるようだ」となれば、「もう、どうでもいいわ」と絶望したくもなります。いけないと頭で分かっていても、愛情への飢餓感から泥沼でさえ足を踏み入れてしまうものかもしれません。
ですが、先ほど書きましたように、頑張って、頑張って、何とかしようとした時期があるのです。だってすごく欲しかったものがあったからです。「それをパートナーからもらうのは、もう無理」と諦めてしまったからこそ、それを“与えてくれそうな人”と浮気をしてしまうのです。
もちろん、理由があったからといって浮気をして良いわけではないですし、浮気を正当化するつもりもないのですが、「すごく欲しかったものがある。諦めてしまったものがある。」という気持ちが自分の中にあるということを知り、直面をすることが大切なのです。それを変えていこうと取り組むことが、“修復への道”を歩みだすことになるのでしょう。
「こんなはずじゃなかった、どうしてこんなふうになってしまったんだろう」そんなふうに感じる時、あなたが諦めてしまったものに目を向けてみると良いかもしれません。
この「人生の危機」を乗り越えようとする過程で多くの人が体験することのイメージとして、「夜の海の航海(night sea journey)」があります。(※参考:ユング心理学)
人生には心が暗闇の中にあって、出口の光が見えず長らく低迷する時期というものがあります。しかし、航海がそうであるように、いつかは闇の世界から脱出する時が来ます。もし皆さんが真夜中の海原を一人で泳いでいるのであれば、カウンセラーが少しでも力になることができたら、幸いです。
誰にでもある“不倫願望”や“浮気”の危険性
不倫なんて関係ない…と思われたあなた。不倫をする理由は、夫婦関係の不仲ばかりではありません。ふとした瞬間に、はまり込むのも不倫の特徴だといえます。普段の生活の中での溜め込んだストレス、厳しい環境下での生活に身をおいていると、誰にでもその危険性はあるのです。
たとえば、表の社会で良い子(良い妻)をしなければならないような生活、まわりからのプレッシャーなどがきつく厳しい環境、常に緊張を強いられるようなハードワークなど、溜め込んだストレスを吐き出せる場所なかったり、弱さを見せられるような良き理解者などがいなかったりする場合、抑圧された感情は逃げ場を失うのです。本来であれば、その良き理解者がパートナーなら一番良いのですが…。
寂しさに気が狂いそうになったり、誰でもいいから側にいてほしいと思ったり、皆さんもそんな気持ちになったことはないでしょうか。それは時には衝動的であり、破壊的なほどのエネルギーを持つこともあります。
逃げ場を失った感情、溜め込んだストレスから逃れるために、“普段の私ではない自分になれる場所”が必要になってくるのです。それが、不倫や浮気、男性であれば風俗通いなのです。
表の社会(普段の生活)のストレスを、裏の社会(タブー)で吐き出すわけですね。悪いことであるのは分かっていても、表社会でのストレスが解消できなければ、相手を変えたり、方法を変えたりして同じようなことを繰り返しやすいのも特徴です。不倫関係を“泥沼化”と言い表すことがありますが、なかなか抜け出せないのには、こんな心理状況があるからなのです。
ゆえに、「表の顔と裏の顔」を持っているような感じかもしれません。人格が変わるとまでは言えませんが、普段は貞淑な妻でありながら、不倫の彼とのSEXではすごく情熱的にのめり込んでしまうとか。これは、女性に多いかもしれませんが、一つの変身願望でもあり、いつもつけている仮面を取り去りたいという欲求の表れでもあります。
それだけ、本来の自分を押し殺して生きているのかもしれません。そこにしか救いがないとなれば、求めたくなってしまうのが人間の欲求なのかもしれません。
先の見えない関係だと思いながらハマり込んでしまう不倫ですが、あなたも良い妻・良い夫などの仮面をつけてはいないでしょうか。仮面の下に隠していた自分とは、どんな自分でしょうか。それは情熱的な自分であるかもしれませんし、もっと素直に甘えたいと思う自分かもしれません。
タブーへのスリルを求めているようなイメージもあるかもしれませんが、それだけ追い込まれた心理状況がある場合も多いのです。私たちカウンセラーは、社会的理念がどうとかいう前に、「なぜこうなっているのか?」を考えます。不倫関係においても、こうなってしまう状況や心理状態がそこにある、というところから物事を考えていくのです。
不倫願望に隠された“仮面の下に隠れた自分”“本来の自分”について見直す一つのきっかけにしていただければ、幸いです。