過去の失恋が忘れられず、新しい恋に向けて一歩踏み出せない人の中には、カウンセリングに興味を持たれる人もいるでしょう。
実際の恋愛カウンセリングでは、どういったことが行われるのか、プロの心理カウンセラーの様子が気になると思います。
そこで、今回は、実際の相談内容をもとにプロのカウンセラーが「恋愛カウンセリングの内容」について詳しく解説していきます。
恋愛カウンセリングを受けることで、失恋から抜け出すきっかけになるかもしれませんよ!
あなたの恋愛パターンに大きく影響する、父親と母親との関係
失恋や浮気に関するカウンセリングをしていくと「お父さん、お母さんってどんな方でした?」という質問をよくさせていただくんです。
恋愛の問題と親子関係とどう関係あるの? と疑問に思われる方も多いのですが、実は親子関係ってあなたの恋にものすごく大きな影響を与えているんです。特に、異性の親との関係は特に重要なんですね。
たとえば、小さい頃にお父さんにすごく愛された女の子。本当に可愛がられて、幸せを感じていた人。男性に対してあまり抵抗を感じないばかりか「世の中の男は全て私のもの」はちょっと大げさですけど、男性から嫌われるとはあまり思えない場合があるようです。(だからって、恋が全てうまくいくわけではありませんが…)
逆に、お父さんのことが怖くて、全然愛されていなかったな、と感じている方。大人になってからも、男性が苦手に感じられませんか? 自分のことを好きになってもらえるような気がしなかったり、年上の人やパートナーがいる人ばかりを好きになったりしませんか? 男性に対して、ちょっと怖れや壁を感じやすいみたいです。
心理学ではこういう風に考えています。私たちが生まれてからしばらくの間、世界には3人しか存在しなかったんです。お母さん、お父さん、そして、自分です。おじいちゃん、おばあちゃんやお兄ちゃん、お姉ちゃんですら、まだ“人間”としての認知はなかったんですね。(もう少し大きくなると出てきます)
そうすると、女の子にとってはお父さんというのは、唯一の男性であり、同時に、全ての男性になります。だから、お父さんに愛された女の子は、世界中の男に愛されたに等しいのです。(だって世界中に男は一人しかいないわけですから)その感覚がずっとあり続けたとしたら、男性はみんな自分のことを愛してくれる、という感覚を持つことができるのです。
ちょっと不思議な話に聞こえるかもしれませんね。でも、恋愛や人間関係って、理屈で考えてできる世界ではありませんよね? 感情や感覚でできている世界です。だから、お父さんに愛された女の子も、まさか「世界中の男が私を好き」だとは意識していませんよね。でも、男性に近づく時、あるいは、近づかれる時に「男性が大丈夫」という感覚は持っているのです。
一方で、たとえば、仕事が忙しくてお父さんがあまり家に居なかった女の子は、男性がとっても遠い存在になってしまいます。どう近づいたらいいのか? どうしていいのかが分からなくなるんです。
男の子の場合は、これの逆になります。
また、女の子とお母さんとの関係はどうでしょう? 実はこの二人、ライバル関係にあります。お父さんを巡って、競争するのです。だから、子ども時代にお父さん、お母さんとどんな関係だったのかは、あなたの恋愛パターンに大きな影響を与えるのです。
でも、どうしたらいいんでしょうか? 小さい頃にお父さんに愛されなかったからって、タイムマシーンに乗って会いに行くわけにもいきませんよね。
実は、私たちが小さい頃にもらえなかったものは、恋愛などの人間関係を通じて得ようとする働きがあります。小さい頃にパパに愛されなかった人が、年上の男性ばかりを好きになるケースがありますが、それはパパの愛を別の男性に求めている証なんですね。(もちろん、そんな意識はないと思いますが…)
そんな風に「怒ると怖かったお父さん」だとしたら、「優しくて穏やかな人」のことを好きになりやすいでしょうし、「過干渉なお父さん」だったら、「私のことを信頼して放っておいてくれる人」のほうに好意を持ちやすいのです。
そうして、大人になるプロセスの中で癒やされたり、変化していったりするものなんですね。また、カウンセリングの中で、実際にお父さんやお母さんと向き合い、許していくと、今までは感じられなかった愛に気づき、受け取れることも少なくありません。
もし、親から「愛されなかった」と感じているとすれば、それは大きな誤解であることも少なくないんです。昔は「愛はあったが、どう愛していいのか分からなかった」という人はたくさんいるはずです。
そうした、許しや誤解を解いていくと、心の中の「愛されなかった物語」が書き換えられるのです。そうすると、より異性に対しての自信を感じられるようになっていきますよ。
振り返ってみませんか?“過去”の失恋が“今”に与える影響
失恋カウンセリングの中で、親子関係に引けを取らないほどに大切なもの、それはあなたが今まで積み重ねてきた過去の恋です。特に失恋の経験は、あなたを怯えさせ、次のステップに進ませないことが少なくないのです。
たとえば、もし、皆さんが牡蠣にあたったことがあるとしたら、もう二度とそれを食べたいと思わないのではないでしょうか? それと同じで私たちの心は辛い経験、痛い思いをすると、もう二度と、そんな思いはしたくない、と思うのです。
あなたが過去、辛い失恋をし、そして、まだ心のどこかにその影響が残っているとしたら、今のあなたは恋に対して多少なりとも臆病になってしまっています。
たとえば、踏み込まないように一線を引いていたり、これ以上好きにならないように気持ちをコントロールしたり、相手に自分を惚れさせようと作戦を練ったり。また、あまりに痛みが多かったり、幾度となく辛い失恋を重ねていたりすれば、もう二度と恋なんてしない、と決心しているかもしれません。
でも、辛くても何年も経てば大丈夫だと思ってしまいませんか? 実際、その辛さはなくなります(正確には痛みに慣れて、麻痺するだけなのですが)し、その人の存在も薄れ、忘れていくでしょう。でも、その失恋の辛さは、その痛みだけではないのです。
昔、実際にカウンセリングした、ある女の子の例を紹介しましょう。(もちろん、ご本人に掲載の許可を頂いています。)
彼女は部下を30人抱えるマネージャー。まだ32歳と若いのにバリバリ仕事をして、人望も厚く、周りからも非常に頼りにされていました。そんな彼女がカウンセリングにいらっしゃったのも仕事のこと。ここ数年、ちょっとモチベーションが落ちてきて、「このままではいいのか?」と思うようになった、とのことでした。
ずっと頑張ってきたんだから、燃え尽き症候群の気もあるのかな、と思い、話をうかがっていったんです。仕事は充実し、上司や部下からも慕われ、プライベートも充実しています。なのに、なぜ? と私もなかなか理由が分かりませんでした。それがふと思い立って、「そういえば恋愛はどうなの?」って聞いてみたんです。
「今も一応、彼氏はいるんですけどね。ずっと恋愛よりも仕事って感じだったんですよね」
“一応”ということは、本気じゃないってことですよね? それで、「昔からそうだったの?」って聞いてみたんです。
「高校生の頃までは断然恋愛でしたね。男の子にちやほやされたくて頑張っていたくらいでしたから。それが大学の時に3ヶ月くらい付き合ったサークルの先輩に二股掛けられて、すごく好きだった人なんですよね。それで男の人が信じられなくなって。それで、サークルも辞めてバイトに打ち込んだんです。学生バイトなのに副店長までいったんですよ。」
なるほど、それか…と思うわけです。
12年くらいの前の失恋が今に影響している…そう聞いたら、皆さんはどう感じますか? しかも、付き合ったのはわずか3ヶ月。彼女に聞いてみたら、顔も名前もはっきり思い出せない程度の相手です。あり得ない…ですよね、普通は。
でも、彼女にとってはあり得てしまうのです。なぜかというと、その後の人生は、その失恋をきっかけに変わったから。その相手そのものについてはもう未練はないでしょう。でも、その失恋の痛み、辛さ、悔しさはその後の人生を変えてしまいました。
私たちは痛い時に、どうしてもそれをごまかそうとします。
彼女は、その失恋の後、「男性は信用できない。けれど、仕事は裏切らない」ということを学び、それをその後12年間、守り通してきたわけです。言い方を変えれば、その3ヶ月だけ付き合った彼を、形を変えて執着し続けたようなものなんですね。
なので、改めてその執着を手放しましょう、という話になりました。「え?」と思われて当然ですけれど、実は、心や感情にとって時間はあってないようなものなのです。皆さんも、たとえば高校時代の友人にばったり会って話が盛り上がれば、いつしか、気分は高校生に戻っていませんか? 普段、忘れているような人もどんどん思い出されてきて。
だから、12年前だろうが、24年前だろうが、心にとっては関係ないんです。そして、その痛みを癒やしていくセラピーをしていきました。不思議と涙があふれてきて、「ええ、なんでなんで?」って彼女は驚いていました。
終わった後、感想を聞いてみると「何か重荷を下ろしたような感じで、ものすごく眠たいです」とのこと。だいぶ、自分にプレッシャーをかけ続けてきたのかもしれませんね。
その結果、“一応”だった彼は“本命”に昇格。今まで以上に「好き」と思えて、すごく新鮮な恋をしているようです。
皆さんもちょっと過去を振り返ってみませんか? あなたを変えてしまった失恋、あなたの人生の流れを変えた失恋。もし、今、恋がうまくいっていないとしたら、その名残がまだ残っているのかもしれません。
過去の恋愛と向き合い、新しい自分に生まれ変わる「手放し」
「手放し」とは、「昔の自分を卒業して、新しい自分に生まれ変わる儀式」のことです。私たちは放っておいても勝手に成長するものですが、時には失恋や失敗などの「強制成長期間」が与えられることがあるんです。すなわち、問題は私たちを成長させてくれるためにやってくるからですね。
もちろん、これは、今、パートナーがいる方にも大切なことです。というのも、手放しのプロセスがきちんと進んでいないと、今のパートナーに元カレ(元カノ)をかぶせてしまうことが少なからず起きてしまうんです。
元カレ(元カノ)がよく嘘をつく人だったとしたら…今の相手と付き合い始めた後の言葉も100%信じられなくなると思いませんか?
元カレ(元カノ)がお金にだらしない人だったとしたら…今の相手が「あ、今日お金ない」と呟いた瞬間、ドキッとしてしまうと思いませんか?
私たちは少なからず過去の恋愛を引きずっているものですが、その度合いが大きければ大きいほど、今の恋に与える影響も甚大なものになるんです。時には、せっかく目の前に新しい素敵なパートナーがいるのに、どうしても元カレ(元カノ)の幻影がぬぐえないってケースもあるくらいです。それではお互いがすごく辛くなってしまいますね。
だから、過去の恋愛を卒業することは、あなたが今、そして、将来、素敵な恋をするためにはとっても大切なものなんです。
しかし、元カレ(元カノ)を手放すには、それなりの勇気と準備が必要です。傷ついてボロボロな時に、頑張って前に進もうとするのはすごく痛いです。そういう時は、もう少し心が癒えるのを待ってみてもいいでしょう。
手放しは素敵なものを与えてくれます。軽くなった心だけじゃなく、愛や信頼、絆、自信などの感覚。または、本当に新しいパートナーが現れる場合もあります。特に「執着を手放すと、元カレ(元カノ)が戻ってくる」と言われていて、復縁のチャンスの訪れも予感させるのです。