失恋後、随時時間が経つのに、なかなか次の恋に進めない…。
次の恋に進めない理由の影には、何か恋愛に対してトラウマを抱えているのかもしれません。
その恋愛に対するトラウマと向き合うことで、新しい恋で幸せをつかむことができるはずです。
今回は、実際の相談内容をもとにプロのカウンセラーが「失恋を乗り越えて、新しい恋で幸せになる方法」を詳しくアドバイスしていきます。
相手の愛が重いと感じて、別れてしまったら…
今回は『バランスの力学』から、この関係性を考えていきたいと思います。カウンセリングで対人関係やパートナーシップを見ていく時に「自立」「依存」という側面から見ていくことがあります。どちらの役割が良いとか悪いとかではないのですが、この自立と依存のバランスが崩れた時に問題が起こりやすくなります。
このバランスは、よく天秤にたとえられます。天秤の左側に自立側の自立心を乗せて、天秤の右側には依存側の依存心を乗せたとします。この天秤が平行に近くバランスが取れていれば問題はないのですが、どちらかに大きく傾きすぎると、ストレスがたまりやすくなります。どちらか一方に負荷がかかる場合もありますし、両者である場合もありますが、天秤の傾き度合いが大きいほどストレスはたまりやすくなります。
今回の関係性を、もっとシンプルにお伝えするとしたなら、天秤の右側(依存側)のお皿に「依存心」という“おもり”が乗り右方向に傾いてしまい、天秤の左側(自立側)が支えきれなくて別れてしまった、ということです。恋愛では、ここで自立側が距離を取り出すか、関係そのものを終わらせたくなり別れを選ぶことも少なくないのです。
この「依存心」ですが、自分ではなく誰かが自分を満たしてくれると思う心理です。誰もが持っているものではありますが、それが「無理な要求、過度な要求」となった時に、自立側は『重さ』を感じます。
「寂しいから、もっと私とずっと一緒にいて」「とにかく私だけを見てほしい」それは言葉だったり、慰めてほしいオーラを出し続けることであったり。愛情表現に見えるこれらの言葉も、求めすぎれば、やはり重たくなり、いつしかそれに応え続ける側にも限界が来ます。
自立側は、依存心を抑圧してまで自立をしてきたのですから、あまりに重たいニーズをぶつけられると、逃げ出したくなってしまうのです。実際逃げ出さないまでもうっとうしさを感じるので、この依存心に応えてあげようと思えなくなっていくのです。そして、ニーズに応えてもらえない依存側もストレスを抱えてしまいます。ニーズに応えてもらえないことで拒絶されたよう感じ、傷ついてしまうのです。
この関係を改善するためには、天秤が右側(依存側)に傾いた状態を平行にもっていけるようにバランスを調整すると良いでしょう。
●自立側
パートナーの依存心を認めてあげることができれば、怒りたくなることも減るのでパートナーの気分も良くなります。それでも抵抗が出るようであれば、パートナーが見せてくれる依存心は、あなたの心の中にある抑圧してきた依存時代の痛みでもあるかもしれません。
パートナーの依存心を受け入れていくことは、あなたの痛みを癒やすことにもつながる場合も多いのです。あなたが依存を受け入れ認めることで、相手の気分が良くなり強く依存することも減りますので、あなたの気分も良くなります。
●依存側
少し自立していくことが求められます。相手にしてもらうことばかりを考えずに、相手が欲しいものを与えていく、相手に何を与えられるかを考えられるようになれば、求めすぎることが無くなるので、パートナーはあなたとの関係をラクに感じていくでしょう。
今回のバランスの力学は、恋愛だけに限ったことではありません。職場との上司、部下との関係や友人との関係の中でも起こりうることです。頼られすぎて重たく感じてしまったことはありませんか? ちょっと甘えすぎてしまったかなということはありませんか?
私たちの心の中には「助けたい・力になりたい・役に立ちたい」という自立の与えたい気持ちと、「甘えたい・頼りたい・助けてほしい」という依存の求める気持ちと、誰でもその両方を持っています。
ですが、自立・依存の関係性が固定されてしまい、与えるばかり、与えてもらうばかりでは、お互い満たされることが難しくなってきます。依存も自立も自由にポジションチェンジができる「相互依存」という関係性では、お互いを満たす合うことができるのです。
自立・依存は、どちらが良いとか悪いとかではありませんが、バランスの傾きが大きい時には、調整してみることが大切です。それがお互いにとってラクでもあり、長く関係を続けていくコツでもあります。
また振られそうで、怖くて次の恋ができない
失恋をして、また振られそうで怖いから、次の恋をすることができなくなってしまう…その気持ちの根底にあるのは、どんな心理でしょう。大きく3つが考えられます。
まず1つ目。振られるという経験をした場合、たとえ相手が変わってもパートナーに過去の経験を投影してしまうことがあります。「また振られるんじゃないか」という怖れが、親密な関係を持つことを遠ざけてしまいます。
2つ目に「自分はまた捨てられるに違いない」という思いを抱くこともあります。これは、自分には愛されるだけの価値がない。だから捨てられるに違いない、という無価値感からくる感覚です。
3つ目は「不信感」です。相手が浮気などをして振られた時、多くは「裏切られた」と感じます。そして「もうこんな痛い思いをしたくない」という思いから、異性に対し、不信感を持つのです。異性は自分を愛してくれる存在ではなく、自分を傷つける存在でしかない。そこから異性不信になってしまいます。異性をなかなか信じられなくなるので、恋愛そのものに臆病になり、恋する気持ちも湧かなくなるのです。
いずれの場合も「失恋」=「愛されない自分」という方程式が成り立ってしまうのは共通です。
たしかに、失恋という出来事自体を変えることはできません。でも、同じ自分では一生いられないのと同じように、過去にあった嫌な出来事が一生変わらないかといえば、そんなことはないのです。
彼に振られ、うんと傷ついた痛みに焦点を合わせると、それはそれは大きなダメージ。でも、この失恋という出来事でさえ、人生を変えるターニングポイントととらえたらどうでしょうか? 失恋という辛い体験をすっかり忘れることはできなくても、「まだ人を愛せる自分」のことを忘れずにいてほしいのです。
「失恋」=「愛されない自分」という方程式を「恋愛」=「愛し愛されるにふさわしい自分」に書き換えていきましょう。
愛や親密感が失われて傷ついたのですから、この失恋の傷は新しい愛や親密感で癒やされていくのです。「また誰かと親密な関係を作っていきたい」という意思を持つことが、次の恋に踏み出す一歩、ひいては幸せな自分を取り戻す一歩となるのです。
私たちの傷や痛みの特効薬は『愛と親密感』なんですね。
いつも気づくと遊ばれている…“都合のいい人”からの卒業
なぜかいつもセカンド…。いわゆる「都合のいい人」になってしまうと、相手の気持ちが見えず、自分に自信が無くなってしまいますね。どうやってその状態を抜け出したらいいのか、一緒に考えていきましょう。
●どうして都合のいい人になってしまうの?
友だちに「あんな人と付き合うのはやめなよ」と言われて、自分でも時々「何をやっているんだろう、私」とも思うのだけれど…。でも、相手に「あなたにとって私って何なの? 本気なの、遊びなの?」と聞くのも怖い。
これには「私には愛されている価値や魅力がない」という無価値感が関係しているのです。無価値感が強いと見捨てられる恐れや不安が大きくなって、捨てられないように相手にすがりつきます。
相手に怪しい行動があったとしても「気のせいだろう」と見過ごそうとしたり、相手のわがままに振り回されながらも「相手には私しかいないから」とひたすら尽くしてしまったり。無価値感が強く出てくると、嫌われないようにと、無理をしてでも相手に合わせるようになるのです。
心の中には、つらい・寂しい・悲しい・不安などいろいろな気持ちがあるのですが、ずっと自分の気持ちを抑え込んだままなので、残念ながら相手にはその気持ちがほとんど伝わっていません。相手は好き勝手にあなたを扱うし、あなたはあなたで気をまわして相手に合わせて動いてしまうから、結果として「都合のいい人」ができあがるのです。
●都合のいい人を卒業するために
相手があなたを都合よく扱うのは、言い換えると、あなたが相手に、あなたのことを都合よく扱わせてしまっている、とも考えられます。たとえば、真夜中に呼びだされ、それが体目当てだと分かっていても、急いで相手の部屋に行ってしまうのです。「相手も仕事が大変だし、私が癒やしてあげなきゃ」という感じで。
いつも“あなたの気持ち”“あなたの心の声”は、隠されたまま。ですから、『あなたの気持ちをきちんと見つめてあげる』『あなたの心の声を聞いてあげる』ことは、都合のいい人を卒業するために大切なことなのです。
「本当はこれが欲しい」という第一希望のものをいつも諦めがちなあなた。手に入るのは、2番目、もしくは2番目以下のものばかりです。2番目以下のものを頑張って手に入れたとしても、なんだかむなしさが残りませんか? 心が満たされることがなかったのは、“本当に欲しいもの”ではないからではありませんか?
あなたは何が欲しいのか? 何をしたいのか?
これがあなたの状況を変えるために必要な自分への問いかけです。
もちろん簡単なことではないのかもしれませんが、「本当はこうしてほしいのに」というあなたの本音をコミュニケーションできた時に、都合のいい人から抜け出すことができるのです。
●まずは自分という意識
こういう恋愛を繰り返す人は、慈愛深かったり、情熱的であったり、とても母性(父性)が強かったりするのが特徴です。気に入られたい相手には、自分の本音よりも相手の喜びそうな言葉を選んでしまいます。相手への配慮や気をつかうことはとても上手ですが、相手に合わせすぎると自分自身が見えなくなるので、振り回されてしまうのですね。
このような人は、自分自身の気持ちをしっかり見つめるようにすると、地に足が着いた状態になっていけます。地に足が着くと相手に振り回されなくて済むようになり、自分の本心にウソをつかずにしっかり生きていけるようになります。
嫌われたくないからと相手に尽くすのではなく、自分らしい状態をキープするようにしましょう。すると、かえって、相手に愛情を与えるのがラクになっていきます。お互いが満足を与え合える関係というのは、実はとても居心地の良いラクなものなのです。
なんだか都合よく扱われているなぁ…なんて感じる人は「相手の気持ちより、まずは自分の気持ちを見つめよう」という意識を持ってください。ちょっと勇気はいりますが、「まずは自分、次に相手」というぐらいの思いきりがちょうど良いでしょう。