エンパスとは?特徴やHSPとの違い、共感力が高い体質の改善方法

エンパスとは?

エンパスとは、英語の「empathy(共感すること)」から派生した言葉で、人一倍共感能力が高い人のことを指します。

ただ共感能力が高いだけでなく、言葉を交わさなくても他人の感情を敏感に感じ取り、他人の身に起きたことをまるで自分が体験したことかのように感じ取れるほど、過剰に他人からの影響を受けやすい体質のことを言います。

人の気持ちが理解できるというメリットがあるものの、人の喜怒哀楽に振り回されやすく、対人関係に悩みやすいという面も。

エンパスは基本的に先天性の性質で、日本人の15~20%がエンパスだと言われています。

エンパス体質の人の体験談をご紹介

実際、エンパス体質の人は、どんな日常生活を送っているのでしょうか?

ここでは、エンパス体質の人の体験談をご紹介します。

生きづらさ、苦しさが垣間見られるはずです。

同僚が失敗して怒られているのを見て自分も怒られている気分になり、失敗が怖くなって仕事が手につかなくなった。(20代女性)

満員電車などの人混みは周囲の人に気疲れして苦手。朝から気が滅入ってしまうので空いている早めの電車に乗っています。(30代女性)

犬猫などの動物の気持ちも何となく分かってしまう。動物に好かれるのは良いけど、虐待のニュースを聞くととても辛くなる。(40代女性)

エンパスとHSPの違いは?

エンパスと似た性質として、HSP(Highly Sensitive Person)があります。

訳すと「人よりも敏感な人」となり、エンパスとほぼ同じ意味ですが、少し違いがあります。

エンパスが人の感情”という目に見えない感覚やスピリチュアル的なものに影響されるのに対し、HSPは環境や、光や音などの外部から与えられる身体感覚への刺激に影響を受けやすいという特徴があります。

また心理学的に言うとHSPというグループの中にエンパスがあるイメージのため、HSPとエンパスの両方を感じている人も少なくありません。

エンパスはうつ病になりやすい?

エンパスを持つ人は人一倍感受性が強いため、他人の感情が鮮明に伝わってきて自分の気持ちと同調したり、他人と自分の気持ちの違いや温度差に気分が乱高下したり、時には刺激の強いニュースやSNSの投稿にさえも敏感に感じ取り、落ち込みやすくなります。

こうした性質を持っていると必然的に日常生活の中でストレスを感じることが多くなるため、うつ病を発症するリスクが高くなるといえます。

ただし、うつ病は明るく健康的な人でも発症することがあるので、エンパスの有無に関係なく、気分の落ち込みや倦怠感が続いたり、睡眠障害が起こっていたりする場合は医療機関を受診してください。

6つ存在するエンパスの種類を解説

エンパスは、大きく分けて6つの種類があると言われています。ここからは、エンパスの種類を1つずつ解説していきます。

1.身体直感型

身体直感型とは、その名の通り、頭痛や腹痛など相手の体に起こっている異変を察知できるタイプを指します。

話さなくても、どこが不調なのかを表情や仕草から感じ取ったり、しばらく後に痛みや不調がくる箇所まで分かったりすることがあります。

大人相手だけでなく、まだ自分で不調を表現できない小さな子供や赤ちゃんの体調の異変も察知できます。

2.身体ワンネス型

身体ワンネス型は、身体直感型と同じく他人の身体の異変を察知した後、同じ異変を自分の身体でも感じるようになるタイプを指します。

たとえば転んだ人を見たら自分も転んだところと同じ箇所が痛くなったり、テレビや映画などで暴力シーンを見たらしんどくなったり気分が悪くなったりします。

身体ワンネス型よりもさらに共感能力が高いタイプといえます。

3.感情直感型

感情直感型は他人の気持ちを直感的に察知できるタイプです。

相手の表情や話し方、声のトーン、身振り手振りなどから相手の本心を読み取ることができます。なかには相手が嘘をついたら直感で見抜ける人も。

また、直感力が増すと、相手が話し出す前に何を言おうとしているのかさえも分かる人もいるようです。まさに理屈ではないエスパーのような能力といえます。

4.感情ワンネス型

感情ワンネス型は、他人の身体の異変を察知する身体ワンネス型の、感情の感知に特化したタイプです。

身体ワンネス型が他人の頭痛や腹痛などが自分にも伝染して同じ箇所が痛くなるように、感情ワンネス型は他人の感情がそのまま自分に伝染します。

自分は何もしていないのに理由なく悲しくなったり、イライラしたり、時に幸せな気分になったりするなら、感情ワンネス型かもしれません。

5.知的変容型

知的変容型は、他人の感情ではなく、他人が持っている思考や知識、経験を追体験するタイプです。

たとえば、ガラス細工の体験に行ってプロの技のレクチャーを見た後、自分は知識も経験もないのに一発でプロと同じようなガラス細工が作れます。

知識を吸収するというより、その人の思考を察知して共感し、その人になりきるというイメージです。

6.スピリチュアルワンネス型

スピリチュアルワンネス型は、目の前にいる人だけでなく、姿の見えない遠方の人や、天国にいる方の感覚や体験まで感じ取れるタイプです。

スピリチュアルワンネス型だけは、特に霊力が必要とされているため、エンパスの中でも最も珍しいタイプと言われていますが、実は誰しもに生まれながら備わっている能力とも言われています。

エンパスの人に見られる特徴解説

ここまで、エンパスについて詳しく解説してきましたが、実際のところ、エンパス体質の人にはどのような特徴が見られるのでしょうか?

ここからは、エンパス体質の人に見られる特徴について、詳しく解説していきます。

相手の感情を直観的に理解する

どのタイプのエンパスも共通しているのが、相手の感情を直感的に理解できる、という点です。

だいたいの人は対人経験から「この表情は嫌がっているのかな」「多分こう考えているのかな」くらいの想像はできますが、エンパスはさらに正確に相手の感情を読み取ることができます。

一言も言葉を交わさなくても相手の気持ちが分かったり、すれ違っただけの見知らぬ人の気持ちや、時には相手が次に言おうとしていることすら分かってしまったりすることもあります。

周りによって自分の感情が左右される

エンパスは他人の感情を読み取り共感できるため、泣いている人がいると悲しくなったり、イライラしている人が目の前にいると自分も苛立ってきたりするなど、周りの感情によって自分の感情が左右されることがよくあります。

そのため、さっき笑っていたと思ったら次は落ち込んでいるなど、感情のジェットコースターで周囲から見ると喜怒哀楽が激しい人に映ることも。

日常生活で出会う人のテンションに引っ張られるだけでなく、テレビや映画の登場人物の気持ちに引っ張られることもあります。

現実逃避や依存傾向が見られる

エンパスは他人の感情に振り回されやすいため、生きづらさを感じる方が少なくありません。

そのため、趣味に没頭したり、誰も知っている人のいない遠方へ旅に出て現実逃避をしたりする人や、「この人なら安心する」と思える人に依存する傾向があります。

また、高い共感力から思いやりの心を持っている人が多いため、逆に人から依存されることも。

エンパスからすると本望でなかったとしても、自分に依存する人の気持ちが分かってしまい突き放せず、共依存のような形に陥ることもあります。

自分1人の時間を重要視する

エンパスは周囲に誰かがいると感情が引っ張られてしまい落ち着く時間があまりないため、自分1人の時間を重視する傾向があります。

ストレスの多い環境にいるわけですから、心の調子を整えたり、何も考えずにホッとできたりする時間は、エンパスにとって、とても大切なのです。

エンパスのように人目を気にする人は、冷たくされたり、のけ者にされたりすると、人一倍傷つくため決して孤独が好きなわけではなく、リフレッシュする時間が欲しいという意味です。

人混みが苦手、疲れやすい

他人から影響を受けやすいエンパスは、人混みが人一倍苦手です。

エンパスが影響を受けるのは1人ずつではなく、大勢に囲まれると一気に色んな感情が自分の中に入ってくる感覚になり、とても疲れやすくなります。

敏感な人はスッとすれ違っただけの人の気持ちまで察知してしまうため、人が多い場所では心休まる時がありません。

そのため、人が集中する都会や交通の便が良い場所には住まず、落ち着いて住めるよう人の少ない地域を選ぶ傾向があります。

エンパス体質を改善するには?

エンパス体質は相手の感情が手に取るように理解できるという、コミュニケーションでのメリットはあるものの、周りの感情に振り回され、疲れやすいというデメリットもあります。

それでは最後に、エンパス体質で悩んでいる方に試してほしい改善方法について、ご紹介していきます。

自分の感情に向き合う

エンパスは他人のことを感じすぎてストレスを抱えてしまうため、「他人は他人、自分は自分」と割り切り、思考を自分に向けるように意識してみましょう。

他人に起きたことは、あなたが対応しなくても良いことなので、「自分が今すべきこと」や「自分が今考えるべきこと」に集中することで、自然と他人のことが頭から消えていくでしょう。

また、逆に自分の気持ちを外に出すことも大切です。自分の気持ちや考えを周囲の人に話したり、日記につけてアウトプットしたりして「自分が主役」の意識を高めていきましょう

深呼吸をする、瞑想

古くから深呼吸や瞑想には心身を整えたり、リフレッシュさせたりする効果があると言われています。

実際に深呼吸には副交感神経を高めてストレスを緩和させる効果があり、瞑想には自律神経や内分泌系の働きを改善する効果があります。

エンパスは何もしていない時間も他人のことをあれこれ考えてしまうので、それらをシャットアウトし、何も考えない時間を強制的に作るのも1つの手です。

深呼吸や瞑想だったら夜自宅でもできるのでおすすめです。

自然に触れる、グラウディング

自然に触れたり、グラウディングをしたりするのも、エンパスによるストレスを緩和させるのに、とても効果的です。

自然に囲まれると、緑の風景や鳥のさえずり、川のせせらぎ、花の香りなど、五感からリラックスを感じます。

これらは血圧や心拍数を下げる効果があると医学的にも証明されており、溜まったストレスを浄化させるのにはうってつけの方法です。

裸足で直接地面に触れるグラウディングは、よりその効果を高めることができます。

良質な睡眠を心がける

最も簡単に取り入れられる改善方法は、良質な睡眠を取ることです。

睡眠は身体の不調から心の不調まで整えることができる万能の治療法です。とはいえ、眠りが浅かったり、質が悪い睡眠だったりすれば、あまり効果は感じられません。

良質な睡眠を得るには、色々なことを考えるきっかけになるSNSから離れ、睡眠前に好きなお茶を飲んでリラックスしたり、心を無にする時間を設けたりすることが大切です。

特に先に紹介した瞑想は睡眠の質を上げるので、おすすめです。

エナジーバンパイアから離れる

最後に、エナジーバンパイアから離れるというのも大切な改善方法です。

エナジーバンパイアとは直訳すると「精神力を吸う吸血鬼」で、一緒にいると気力を吸い取られて疲れてしまう人のことを指します。

エナジーバンパイアには特徴があります。

ネガティブ思考でいつも愚痴を言っている、マウンティングが好き、優柔不断で自分の意見を言わない、気分屋で人を振り回す…など、当てはまる人がいればそっと離れて心の平穏を保ちましょう。

エンパス体質ならではの生き方を探してみて

エンパスは生きづらさやストレスを感じやすいですが、それは共感力が人一倍高いからこそです。

言い換えれば人の気持ちを的確に察し、求めているものを提供できる素晴らしい能力の持ち主であるということ。

エンパスの特徴をきちんと把握すれば、円滑な人間関係や仕事にも活かすことができます

どうしても辛い時は今回ご紹介した改善方法を試しながら、うまく折り合いをつけていってくださいね。

あなたにおすすめの記事