「回避依存症」を知っていますか?
聞き馴染みが無い言葉かもしれませんが、実は近年この傾向にある方が増えてきており、結婚率の低下の一因になっているとも考えられています。
もしあなたが今恋愛がうまくいっていないのなら、「回避依存症」が原因かもしれません。
この記事では回避依存症の特徴と原因、対処法を紹介します。
「回避依存症」とは?
「回避依存症」は、対人関係において使用される言葉です。
“回避”する事に“依存”してしまう状態――つまり、人との関係を深める事をつい避けてしまう状態の事を指します。
人と深く関わる事で傷つく事を恐れ、近づかない事で自分の心の安寧を守ろうとしてしまうのです。
しかし一方で、人と距離がある事から寂しさや虚しさも抱えています。
「回避依存症」はその人の心理に深く根付いているものであり、「アルコール依存症」などの医学的な治療法がある他の依存症とは異なり、薬などで回復するものではないので治すのが難しいという特徴があります。
「回避依存症」になると、当然同性だけでなく異性との仲を深めるのも容易ではありませんので、なかなか恋人が作れないという弊害も生まれます。
回避依存症の【4つのタイプ】
回避依存症の特徴は、いくつかのタイプに分類する事ができます。
順番に見ていきましょう。
(1)独裁者タイプ
異性を束縛したり、コントロールして優位に立とうとするタイプです。
正論を突きつけて相手の人格を否定したり、威圧的な態度を取ったり、時に暴力を振って、自分の思い通りにしようとします。
この手のタイプは、実は自信が無く、寂しがり屋で、メンタルの弱い人が陥りがちです。
支配できる立場になれば相手に逃げられないと思っているので、独裁的な行動を取って異性を縛り付けずにはいられないのです。
(2)搾取者タイプ
搾取者タイプとは、相手へは厳しく要求するのに、自分が同様に要求されるのは嫌な人の事を指します。
一言でいえば他人に厳しく自分に甘いタイプと言えます。
自分の要求を受け入れてもらえた時はご機嫌ですが、受け入れてもらえないと途端に不機嫌になってしまいます。
この手のタイプと付き合うと、相手にだけ奢らせたり、肉体関係は求めるのにきちんとお付き合いはしないなど、一方的な関係になるようです。
(3)ナルシストタイプ
ナルシストタイプは、自意識過剰で、「自分は特別な存在だ」と根拠の無い自信を持っています。
「自分は相手に好かれている」と思っているため、相手を振り回す行動を取りがちです。
自分を認めたり褒めてくれる人には優しいですが、批判してくる相手や見下してくる相手には非常に攻撃的になります。
「自分は価値の高い人間」と思い込む事で自信を保つ、繊細な心を持っている人が多いのが特徴です。
(4)脱走者タイプ
脱走者タイプは、とにかく他人からの束縛を嫌う自由人です。
愛されれば愛されるほど窮屈に感じ、今まで普通だったのに急に無視をしたり音信不通にして逃げる行動を取ります。
約束も嫌いで、行動を縛られたくないと思っています。
付き合いが長くなると相手へ愛情を伝えなくなり、マンネリになりがちなのも脱走者タイプの特徴です。
付き合っても相手とベッタリする時間よりも1人の時間の方を好みます。
ここからは「回避依存症」の特徴をリストアップします。
「もしかしたら自分も「回避依存症」では…」と気になる人は、当てはまる項目が無いかチェックしてみてください。
回避依存症の人の特徴
(1)周囲の人と一定の距離を置こうとする
「回避依存症」の人は他人に踏み込まれ過ぎる事を嫌がります。
自分からも一定の距離を保ち、それ以上は近づこうとしません。
必要以上に近づき過ぎると、途端に態度を変えたりして、相手と今以上に親密になる事を避けようとします。
相手が大きな存在になると、いざ相手を失った時にとても傷つくので、一定の距離を保とうとするのです。
(2)他人に本音を打ち明けるのが苦手
「回避依存症」の人は、他人に心を開くのが苦手です。
なぜなら、自信満々に見えても、本当は自分に自信が無く、素の自分を見せて相手に幻滅されるのを恐れているからです。
また、他人に対し不信感を持っているため、他人を信じて本音を打ち明けるという事ができません。
自己肯定感が低いため、理想の自分を演じて強がるところがあります。
(3)自分のペースを乱されると不機嫌になる
「回避依存症」の人は、自分に自信が無いため、常に完璧な状態を保っていたいと思っています。
自分がコントロールしていないと先が見えず不安になるため、他人に自分のペースを乱されると、強烈な不快感を抱くようです。
このようなイレギュラーな事が起こると感情的になり、相手にはっきり伝わるくらい機嫌が悪くなってしまいます。
(4)束縛や干渉が苦手
「回避依存症」の人は、自分が心地いいと思う距離感を保ったまま人とコミュニケーションを取りたいと考えているため、その枠を超えて干渉をされたり、親密になる事が嫌いです。
近づき過ぎると相手に束縛されているように感じて、逃げたくなってしまいます。
たとえ恋人でも超えてはならない一線を越えると、急に冷めたり別れたいと思ったりしてしまいます。
回避依存症になる原因
「回避依存症」になる原因は、過去の経験から生まれた“トラウマ”だと考えられています。
1つは幼少期の家庭環境で生まれたトラウマです。
両親からネグレクトや虐待を受け十分な愛情を受け取れず、自己肯定感が育たなかったり、逆に愛情過多で親からの口出しが多く過干渉な環境で育ったり、厳しくしつけられて甘えられない環境で育ったりと、心のままに過ごせなかった事が影響し、「他人が信用できない」「本音を言ったら嫌われる」という考えが根付いてしまったと考えられます。
2つ目は過去の恋愛の失敗によるトラウマです。
好きな人に裏切られたり、失恋して傷ついた経験を経て「もうあんな辛い経験はしたくない」と思いが生まれ、深入りして同じ失敗を繰り返す事を回避するようになるのです。
このように「回避依存症」は養育環境や経験などの外的要因によって引き起こされると考えられるため、誰もが陥る可能性が十分にあるのです。
回避依存症の人の恋愛傾向
他人に心を開けられない「回避依存症」の人はどのような恋愛をしがちなのでしょうか?
ここからは「回避依存症」の人の恋愛傾向を紹介します。
・交際人数が多いか極端に少ない
「回避依存症」の人は他人と深く関わるのが苦手なため、お付き合いした人数が極端に少ない、もしくはゼロという事があります。
一方、他人が離れていく事で自分の価値が見い出せなくなる事を恐れたり、孤独を感じるのが嫌で、恋人が途切れないという人もいます。
中には恋人に捨てられて1人になるのが嫌で、常にキープを確保している人もいるようです。
・愛し合うような深い関係を避ける
「回避依存症」の人は、付き合う前は愛情を伝えてきたりとアプローチはするものの、両想いになった途端急に冷たくそっけなくなる事があります。
相手の事が急に嫌いになったわけでは無いのですが、他人と深い関係になったり、自分のペースが崩れるくらいベッタリする恋愛関係が苦手なので、付き合う前と後の態度の差が激しくなってしまうのです。
・束縛や責任を嫌う
「回避依存症」の人は、失敗した時に責められたり、恥をかいたり、自分を拒絶されたりする事を恐れて、自分に責任を課される事を嫌います。
また心の安定を守るために、基本的に自分が支配者になって周囲をコントロールしたい派なので、他人に束縛される事も極端に嫌います。
ゆえにお付き合いが長くなっても、なかなか結婚に踏み切れない人が多いでしょう。
・自己開示が乏しい
「回避依存症」の人は、他人から拒絶されて傷つく事を恐れているため、批判の対象になるものを極力他人に開示しようとしません。
それゆえ、自分の事はあまり話さないところがあります。
その根底には「どうせ自分の事を話しても相手は受け入れてくれるはずが無い」という怯えや、自己肯定感の低さがあります。
本音を言うのは心から信用できた時だけでしょう。
・愛情表現がわかりづらい
「回避依存症」の人の愛情表現は消極的で、時には全く伝えないなど、全般的に愛情表現がとてもわかりづらいところがあります。
これは、はっきりと愛情表現を伝える事で、相手と親密になり過ぎるのを無意識に避けているからです。
「回避依存症」の人と付き合うと、好きと言ってくれないどころか急に冷たくなったりと不安を感じる事が多々あるでしょう。
・試し行為をする
“試し行為”とは、つまり相手の愛情が本物かどうか試すというものです。
わざとワガママを言ったり、大きな要求をしたり、相手を振り回したりして、どれだけついてきてくれるのか、また自分の言うとおりにしてくれるかを見て相手の愛情度を確認したがるところがあります。
少し子供じみた行為ですが、自己肯定感が低いゆえに不信感が拭えずに行ってしまうようです。
・LINEやメールなどの連絡をしてこない
「回避依存症」の人は、自分へ向けられる愛情は確認したがりますが、責任を持ったり踏み込み過ぎるのが怖いため、相手へ愛情を伝える事はとても苦手です。
なのでLINEやメールなどの連絡は気まぐれで、返信すら全く返してくれない時も多々あります。
相手を不安にさせたり振り回しつつも、そのうちにふっと連絡を返してきたりします。
回避依存症の対処方法
恋愛をする上でちょっと厄介な「回避依存症」。
もし陥ってしまったらどうしたらいいのでしょうか?
「回避依存症」から抜け出し、幸せになるための対処法を紹介します。
・過去の自分の気持ちと向き合う
「回避依存症」を克服するには、まず「回避依存症」になった原因を探る事が大切です。
幼少期の家庭環境や過去の恋愛で傷ついた自分の気持ちと向き合い、心を閉ざさずに受け入れましょう。
過去の傷を受け入れる事は、自分の価値を下げるものではありません。
気持ちの整理がつけば、つきものが落ちたように失敗への恐れも薄まっていくでしょう。
・夢中になれる趣味を見つける
「回避依存症」の人は、人との接触を回避しているように見えて、実は人との繋がりに気を取られ過ぎています。
それゆえ人の言動に振り回され、感情のコントロールが難しくなるのです。
夢中になれる趣味を見つけ没頭する事で、人への依存度が低くなっていきます。
目標に向かって邁進する事で自分に自信がつき、自己肯定感も高まっていくでしょう。
・本音を他人に話すトレーニングをする
少しずつでも大丈夫なので他人に本音を伝える練習をしましょう。
いきなり全てを伝えなくてもOK。
10のうち1でも伝えられたら自分を褒めましょう。
そうしているうちに本音を伝える事に慣れ、「拒絶されるかもしれない」という恐れが薄らいでいきます。
トレーニングをするうちに温かく受け入れてくれる人が多い事に気づくでしょう。
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